【ミックス基礎】DTMの音抜けを改善する5つの手順
最終更新日:2024/04/22
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今回は音抜けを良くするための、5つのミックス基礎手順を解説します。
そもそも音抜けとは何か?という部分を再認識した上で、音抜けを悪くしている
原因を解決していきましょう。
ざっくりしたミックスの基本は下記で解説しているので、ご参考までに。
早速みていきましょう。
目次
そもそも”音抜け”って何なのか?
「音抜けが良い、音抜けが悪い」
というふうによく使われる”音抜け” という言葉。
音抜けが良いを簡単に言い換えると、他の楽器に邪魔されずに聴かせたい音が聞こえている状態のことです。
そんなこと当たり前ですよね。
ただここで重要なのは、音抜けを良くするには「聴かせたい音」だけでなく、「それ以外の他の楽器」の音についても考えて問題を解決する必要がある点。つまりミックスについてより深い理解をしていく必要があることです。
今回は音抜けに関するミックスの知識について解説していきます。
音抜けが悪くなる原因
音抜けが悪くなる原因は無数にありますが、今回は下記の3点について解説します。
- 楽器の配置が重なっている
- 楽器同士の音域が重なっている
- トラックがコンプで適切に処理されていない
この3点をしっかりチェックすることで、音抜けの良いスッキリしたトラックに改善される可能性がかなり高いです。それぞれみていきましょう。
楽器の配置を整える
まずは各楽器の配置を整えていきます。
トラック全体の楽器の配置を整えることで、ターゲットを含む各トラックの音抜けが良くなります。
パンで左右の調整
まずはパンを使って楽器を左右に配置していきます。
最初は参考音源を用意して真似しながら慣れていくのがオススメです。
ボーカルと低音のドラム・ベースは中心、ギターやピアノは左右にパンで振るなどわずかな調整で聞こえ方がガラッと変わります。
リバーブとコンプで前後の調整
パンで左右のポジションを決めたら、リバーブとコンプを使って楽器を前後に配置していきます。
リバーブを使うことで楽器が後ろへ引っ込み、コンプを使うことで前に飛び出してくる効果が得られます。コンプについては後ほど解説。
例えばピアノとボーカルの左右の位置が被っている場合、ボーカルにコンプ・ピアノにリバーブを使うことで楽器を前後に配置でき音のバランスが良くなります。
ただしボーカルとピアノなど音の周波数帯域が被るトラックは、EQで重なりを調整する必要があります。
音域の重なりを調整する
楽器の配置が決まったら、各楽器どうしの音域の被りを削ったり抑えたりして調整していきます。
重なり解決法①EQで音域の重なりを削る
ピアノと同じ帯域のギターや、キックと重なるスネアの低音など、楽器同士の音域の重なりはEQを使って処理していきます。
周波数の被りを削ることで、楽器が邪魔しあうことなくスッキリと音が抜けるようになります。
EQによる処理は、なるべく緩やかなカーブを使った広範囲のQで、-5dB以下の最低限の調整にするのが自然なミックスを実現するコツ。
リアルタイムで楽器同士の音域の重なりを教えてくれるFabfilter Pro-Q3を使うとEQによる処理が非常に簡単にできます。
ミックス初心者からプロまでとにかくおすすめ。
重なり解決法②ダッキングで重なりを抑える
ダッキングはコンプレッサーのサイドチェーン機能や、ダッキング専用プラグインを使ったミックステクニックの1つです。
キックが鳴ったタイミングでベースを圧縮したり、ボーカルが歌っているときだけ伴奏のピアノを下げたりできます。
前項のEQと違い、特定の音が鳴っているときだけ音量を下げるので、必要な成分の削り過ぎを防げたり、トラックがスカスカになりにくいというメリットがあります。一方で圧縮しすぎるとノリが不自然になるので要注意。
サイドチェーンを使ったダッキングには2つの方法があります。
コンプレッサーを使ったダッキング
従来からのダッキングの方法として、コンプレッサーのサイドチェーンにキックの信号を入力することで、ベースを瞬間的に圧縮するやり方があります。DAW標準などお手持ちのコンプで気軽に始められるので、まず一度試してみましょう。
この方法のデメリットとしては、コンプのアタックタイムやリリースタイムの設定が必要なため、ミックス初心者にはやや敷居が高く感じるかもしれません。慣れるまでは目的のトラックの波形なども監視しつつ、しっかりダッキングされていることを確認しましょう。
また通常のコンプレッサーだと音域ごとに圧縮ができないので本来圧縮しなくても良い音域を削ってしまう恐れがあります。
よりエネルギッシュなトラックにするために、コンプを使ったダッキングには、マルチバンドコンプレッサーを使うのがおすすめ◎
マルチバンドコンプほど圧縮の細かな設定はできないですが、Fabfilter Pro-Q3も指定した音域だけを圧縮する機能が使えておすすめです。
ダッキング専用プラグインを使ったダッキング
ダッキング専用のプラグインを使うことで、コンプのやや複雑な設定する手間が省けます。
Devious Machines Duckなどのプラグインは、どの程度ダッキングされているかを波形としてリアルタイムで目視できるので、ベースとキックのミックスで苦戦しているミックス初心者にはおすすめ◎
コンプでは再現できないノリを作れたり、エンベロープシェイパーとして幅広いサウンドデザインにも使えるなど、ミックス初心者〜プロまで使える非常に便利なツールです。
コンプレッサーでトラックを適切に圧縮
各楽器の配置をする以前の問題として、トラックのディテール部分の音量が小さすぎるなど適切な処理がされていない可能性があります。
トラックをコンプレッサーで圧縮することで、こうしたディテールの音量も整った他の楽器に埋もれない音を作ることができます。
コンプを使った適切な圧縮は難しいイメージがありますが、実際には2つのポイントを抑えるだけでOK。
ただし圧縮しすぎるとダイナミクスがなくなってしまうので、やりすぎには注意が必要です。
プラグインで音抜けを良くする①倍音を加える
例えば特定のキックの音などは低音成分しか持っていないため、スマホスピーカーなどの低音が出ない環境では必然的に聞こえにくくなります。
こうした場合、サチュレーターとエンハンサーといったプラグインを使って倍音(基準の音の波長の2倍や3倍など高い音)を加えることで、音が聞こえるようになります。
音抜けのためにサチュレーターを使う
サチュレーターとは、真空管やテープなどのアナログ機材を使う際の倍音や歪みを付加するプラグイン。
ベースやキックなどのトラックの音抜けを良くしたり、デジタル感を消すのに最適。
ミックスで使わないことはないサチュレーター。
早い段階で1つ持っておくと、非常に重宝します。
エンハンサーを使う
主に高音域にサチュレーションを付加するボーカル用のプラグインとして使われるエンハンサー。
EQというカテゴリーに分類されることもあるように、指定した音域だけにサチュレーションを付加したりブーストしたりできます。
プラグインで音抜けを良くする②ショートディレイ
ディレイタイムをかなり短い時間(1/64以下など)に設定したディレイを使うと楽器の音抜けが良くなります。
モジュレーション機能付きのディレイでゆらぎを調節すると、Vocal doublerやコーラスのようなプラグインを使ったのと似たような音色になります。
まとめ
いかがだったでしょうか。
音抜けの問題は、ミックスを調整することで大抵の場合解決します。
今回紹介したプラグインは無料でデモ版が使えるので、ぜひ色々試してみてください。
重なった音域を削る | EQの無料デモ版
Fabfilter Pro-Q3の無料デモ版はこちら
重なったタイミングで圧縮 | スペーサーの無料デモ版
Trackspacerの無料デモ版はこちら
奥行き調整 | コンプとリバーブの無料デモ版
Neoverbの無料デモ版はこちら
Shadow Hills Mastering Compressor Class Aの無料デモ版はこちら
倍音を加える | サチュレーターとエンハンサーの無料デモ版
Radiatorの無料デモ版はこちら
Spectreの無料デモ版はこちら
EchoBoyの無料デモ版はこちら
それではまた次回!