【レビュー】iZotope Neoverbは買うべきか?実際に使って気づいたメリット
最終更新日:2024/11/10
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目次
AI搭載リバーブ・iZotope Neoverb
ずっと話題のリバーブプラグイン・iZotope Neoverb
発売当初から話題のNeoverbは、iZotopeが開発したAI搭載型のリバーブプラグイン。
実は難易度の高いリバーブの音域調整やめんどくさいマスキングなどがサクッとできる、まさにプロ泣かせのリバーブプラグインです。
ボーカルやあらゆる楽器、バストラック(複数の楽器をまとめたトラック)など、幅広いシーンに最適なリバーブを直感的に作れる美しい三角形のUIを搭載したNeoverb。
今回はこのNeoverbについてレビューしていきます。
iZotope Neoverbのダウンロードはこちら
ミックスを左右するリバーブ、Neoverbで格段にスッキリ仕上がる
3種類のリバーブブレンダーは、直感的なだけではない!
まずNeoverbの特徴的な三角形のコントローラー。
3種類の異なる性質のリバーブを、実際に聴きながらブレンドすることで、トラックに合った残響を直感的に作ることができます。
Neoverbのそれぞれの頂点には、下記のようなリバーブの割り当てが可能。
- 青色: 壁からの反響音であるReflectionsが固定
- 紫色: 中程度の残響感のRoom、Plate、M.Chanberから選択
- オレンジ: 高さと奥行きのあるHall、L.Chanberから選択
本当は難しい複数リバーブのブレンドが、超簡単にできちゃう
通常のミックスでは、自然に仕上げたい場合はRoom Reverb、アンビエントやドラマチックなバラードなどにはHallという具合に使い分けが必要なリバーブ。
複数のリバーブを使うこともありますが、それぞれのリバーブにEQやダッキングが必要になるので面倒くさいだけでなく、それぞれのリバーブ同士をバランスよく混ぜ合わせるのは実はとても難しい作業。
Neoverbのように1つのプラグインで完結できるのは非常に効率的、何より簡単。もちろんそれぞれのリバーブは、空間の広さや余韻の長さなどを調整可能。
各リバーブの専門知識がなくても、かなり良い感じのリバーブが作れるNeoverbですが、AI機能を使うことで、さらにその直感性は加速します。
リバーブ・アシスタントAIを搭載したNeoverb
“なんとなく”の指示から、”ちょうどいい”リバーブを選んでくれる
「AI使った自動処理は、思い通りにならない」と思っていた筆者。
しかし実際にNeoverbのリバーブ・アシスタントAIを使ってみるとかなり良い、というかちょうど良い機能だなと思いました。
Neoverbのリバーブ・アシスタントAIは、スタイル、サイズ、トーンを選ぶことでイメージに近いリバーブを選択してくれる機能。これが最初にどのリバーブを使うか決めてくれて、とても楽です。
実際に何パターンか試してみましたので、ご参考までに。
リアリスティック寄り&クリーンなトーン
バランスが取れてオーガニック感のあるM.chamberが紫色に選択され、壁からの反響である青色のReflectionに少し混ぜ合わせたような設定に。
ダイナミック&エアリー
滑らかでリッチな響きのPlateと広がりのあるHallが選択され、Plate寄りでミックスされています。
ここから自分好みに動かしたり、違うリバーブに変えることもできます。これを繰り返しているとAI無しでもリバーブを選べるようになっていくと思いますが、NeoverbのAI機能はこれだけではありません。
Neoverbの真骨頂は、AIを使ったイコライジング
NeoverbのAI、真骨頂は原音とWET音(残響)に対する自動のEQカーブです。
リバーブはミックスで必ず使われるプラグインですが、実はリバーブ残響の処理不足がクリアなミックスの邪魔になっていることがよくあります。
原音と重なるWET音がもわっとしたサウンドの原因。対策として、下記のどちらかまたは両方をする必要があります。
- ①原音をサイドチェーンにしたコンプをWET音にかけ、原音がなっている時はリバーブを抑える
- ②WET音から原音と重なる音域をマスキングする
特に複数のリバーブを使う際などには、各リバーブごとに干渉する部分もあるので、正直EQとコンプだけで全てを綺麗にすることは難しいです。
そんなリバーブのEQ事情ですが、Neoverbではリバーブをかける前の原音とかけた後のWET音それぞれにEQをかけられます。しかもAIが自動でカーブを作ってくれる機能も搭載。
NeoverbのAI機能を使うと、自動で原音のスウィートスポットを引き算可能。
リバーブをかけるとモコっとする音域をあらかじめ削ってくれます。
さらにWET音からは、原音と被っている音域を引き算してくれるので、輪郭を損なわない非常に高品質なリバーブ処理が一瞬でできます。
さらに右上のフェーダーの操作では、AIが設定したEQをどの程度反映するか指定できます。最終的にどこまでAIの意見を取り入れるか決められるのは嬉しいところです。
他トラックとの重複をマスキング
Neoverbのマスキング機能を使うと、
「他トラックと被っている音域のリバーブ音を減らす」
といったマスキング処理も自動で行うことができます。
この例では、300Hz~1kHzあたりに音が集中しているため、EQカーブをその音域を減らすように設定されています。