【DTMの裏技】3つのコツで聴かせるMIDIドラム&打ち込み後のミックス処理方法
最終更新日:2024/10/30
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「ノリを意識する」「ドラミングをよく観察する」など
当たり前のことは省略して、実践で使えるテクニックだけをご紹介。
目次
ドラム打ち込みレベルアップ、3つのテクニック
打ち込みのコツ① | 意外と知らないレイヤリング
まず1つ目に紹介するテクニックが、レイヤリングです。1つのパートの音源として、複数の音源を重ねてレイヤーを作ることで、音に厚みを出したり足りない音域を補うことができます。
例えば、キック音を打ち込む際には、「高音域のクリック音源と、低音域のキック音源」の2つを重ねるのがおすすめ。
キックにエンハンサーやサチュレーターを使って倍音を加えるのでもOKですが、高音に特化している音源を重ねるのが今回のレイヤリング。
キックに高音を加えると、スマホスピーカーなどでもしっかりキックが聞こえてくるので非常に良いです。
打ち込みのコツ② | 数ミリ秒だけタイミングをずらす
打ち込みのコツ2つ目は、各パートのタイミングを少しだけずらすテクニックです。
DAWのクオンタイズ機能を使うと全てのタイミングがぴたり合いすぎて、デジタルぽい寂しい感じ・味気ない感じになりがちです。数ミリ秒でもタイミングをずらすことで、リアルで生き生きしたビートに変身。
特にハットの位置はキックやスネアよりわずかに遅らせるのがポイント。
なんとなくこのビート乗れないな、という時は偶数拍のパートを数ミリ秒遅らせるとノリが生まれやすいです。
ちなみに808や909サウンドが好みなら、Nepheton 2やDrumazon 2のシーケンサーがかなり優秀です。
プラグインの打ち込み用シーケンサーめんどくさいし、DAWに直接打ち込む派だった筆者ですが、この2つのシーケンサーは別格。シャッフルやアーキュレーションを少し変えるだけでしっかりグルーヴとノリが生まれます。もちろん音は本当に素晴らしい。
打ち込みのコツ③ | 同じくVelocityも不均一にする(Humanize)
打ち込みのコツ③は、音の強弱であるベロシティのムラを作ることです。
「人の叩く力は一定ではないから」わざと不均一にすることもありますが、
ベロシティを変えることで、
- ①同じ設定でもリバーブやコンプの適応量が変わる
- ②プラグインによってはフィルター等のかかり方が変わってトーンが変わる
といった一見、微妙な変化が生まれます。
例えばこの2つのベロシティの異なるノートに、ドラムバスの最後にかけるバスコンプを同じ設定で通してみます。
ベロシティの違いで音量の差が生まれ、強い方は圧縮が-2dBまで到達しましたが、弱い方は-1.4dB。この違いは小さいようで、かなり大きなトーンの差を生み出します。
今回はこの2音だけで試しましたが、ドラムパート全体で微妙にベロシティにばらつきがあれば、その分より複雑で聞き飽きない打ち込みを作ることができます。
ベロシティのばらつきを作るには手作業で変えても良いですし、DAW標準のHumanizerなど使ってもOK。
大事なのは、むしろ打ち込んだ”後”に、どんな処理をするのか
DTMの打ち込みが物足りない・味気ない感じがする時、
実は「打ち込み自体はしっかりできている」けど「後処理がされていない」というケースが多いです。
具体的には、下記のプロセスが抜けていないかチェックしてみてください。
- ①各パートを1つのバストラックにまとめる
- ②EQでビートのトーンを調整する
- ③バスコンプで「1つのドラムトラック」としてまとめる
①は下準備、②③が重要なパートです。
それぞれ簡単な作業ですが、仕上がりにかなり影響してきます。
①各パートを1つのバストラックにまとめる
まずはキックやスネアなどのトラックのOutputを、新しく作ったバストラックへ切り替えます。
ここはあくまで下処理ですが、ボーカルをまとめたボーカルバス、ギターをまとめたギターバスなど、各トラックごとに1つのバストラックにまとめておくのはミックスの鉄則。
それぞれSendしたリバーブやディレイも、このバストラックに出力しておくのがおすすめです。
②EQでドラムバスのトーンを調整する
①で準備した「ドラムの各パートと、それぞれに使ったエコーやリバーブ」を集めたドラムバスにEQを適応。
このドラムバスにEQを使ってトーンを整えることで、1つのパートとしてのドラムに統一感を出していきます。
- ・高音域を持ち上げるとブライトなサウンドに、下げるとダークなトーン
- ・キック、タム、スネアが重なる中音域は少し削るとすっきりしたサウンドに。
- ・低音部分はベースとの掛け合いなので、ドラム単体では判断しない方が吉
ドラムのEQシェービングで重宝するのがチャネルストリップ系のプラグイン。アナログ特有のサチュレーションを付加しつつEQやコンプをかけられるだけでなく、重要なのがGATEセクション。
GATEでトラックがよりタイトでクリアなサウンドになるので、特にリズムセクションのグルーブを整えるのに便利。さらにしきい値を超えた音は際立つので、ドラムの打楽器のダイナミクスを強調することができます。
なおこのEQ工程は複数のトラックに対しての調整なので、マスタリングと同様、最大3~4dB程度の微妙な調整にしておきましょう。
③最後にバスコンプで「1つのドラムトラック」としてまとめる
トラック同士を接着することから、別名グルーコンプとも呼ばれるバスコンプ。
この最終工程では、バスコンプを使ってさらにドラムバスを1つのトラックとしてしっかりとまとめ上げます。特にトラック同士がバラバラに感じる際には、ドラムバスだけでなくボーカルバスやマスターバスにも応用できるテクニック。
まず一番重要なのが、ドラムバスに使う際にはハイパスフィルターが搭載されているモデルを選ぶということ。
これはダイナミクスが一番強いキックを、圧縮のトリガーにさせないためです。スネアやハットなどを基準にして、最終的にはキック自身も圧縮されます。
打ち込みのドラムに限らず、このバスコンプを使ったトラックをまとめる作業、プロっぽいサウンド作りにかなり大きな効果を与えます。
「打ち込み自体は悪くないはずなのになあ・・・」という方は、ぜひ一度試してみてください。
色々考えるのが面倒だったら、プロサウンドを買うのもアリ
最近、特に日本を中心に爆売れしているというUJAM Beatmakerを使うと、プロ顔負けの打ち込みが一発で手に入ります。
これがチートもチートで、ジャンルごとに厳選されたサウンド、リズムパターンだけでなく、ミックスの方向性やマスタリングセクションまでついているというコスパ最強打ち込みリズムツール。
14種類のUJAM Beatmakerは、ポップスやヒップホップ他、ドラムンにトラップEDMレゲトンなど様々、とにかくそれぞれが各ジャンルに超特化。
個人的には手打ちしてコンプとかも自分でかけるのが好きですが、音が気に入って80sインスパイアのVICEとレトロ系のCIRCUITをゲットしてしまいました。
余談・「実際のドラムにできない手数はNG」……なんてことはないよ!
あちこちで言われている「実際のドラムにできないテカズはNG」というフレーズですが、これは全く気にしなくてOKです。ここだけは声を大にして言いたい!
制約の中で作りたい場合を除いて、頭でっかちにリアルドラミングを追求するのはナンセンス。そもそもドラムマシンとリアルドラムの組み合わせや、ツインドラムなども使われる現代で、腕が3本生えたようなDTMビートがあったって違和感はありません。
ただし、実際のドラムを観察・分析するのはとても良いエクササイズになります。あえて今回は触れていませんが、良いドラムパターンを聴いて音やノリを分析することが打ち込みの一番の近道かもしれません。
ではまた次回!