【作品掲載】セリグラフ・セリグラフィとは?わかりやすく解説
最終更新日:2023/01/28
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セリグラフ・セリグラフィとは版画技法の1つで、別名シルクスクリーンと呼ばれます。
この記事ではセリグラフの仕組みについて解説しつつ、セリグラフ・シルクスクリーンの代表作品についてもご紹介していきます。
それでは早速みていきましょう!
目次
セリグラフ・セリグラフィとは
セリグラフ・セリグラフィは版画の技法の1つ。
別名シルクスリーンと呼ばれています。
芸術に使われたシルクスクリーンをセリグラフと名付けたことが、セリグラフの言葉の起源となっています。(1930年代ごろ)
日本では、シルクスクリーンという名前が一般的ですが、フランスなどのヨーロッパ圏ではセリグラフィ(Sérigraphie)の方が一般的です。
セリグラフ・シルクスクリーンの有名作品
マリリンモンロー|アンディウォーホル
ポップアートの代表作としてきっと誰もが目にしたことのあるウォーホルの「マリリンモンロー」。
様々なカラーでプリントされたこれらの作品はシルクスクリーンで制作されています。
彼は多くの著名人のシルクスクリーン肖像を制作しましたが、時に社会的・政治的意図を持ってそれら作品を公表していたと言います。中でも毛沢東をモチーフにした作品は有名です。
キャンベルのスープ缶|アンディウォーホル
ウォーホルを有名にしたもう一つの作品が「キャンベルのスープ缶」です。
「マリリンモンロー」の前に公表し、ウォーホルの名を世界に、芸術としてのシルクスクリーンを世に広めた作品でもあります。
モンローや毛沢東と同様に、様々な色でプリントされたバージョンも存在しており、こちらもポップアート界で最も有名な作品の1つです。
ジミヘンドリクス|コンラッド・リーチ
イギリス人ポップアーティスト、コンラッド・リーチの名は知らずとも、この作品はどこかで見覚えがあるはず。
言わずと知れたギターの神様・ジミヘンドリクスをシルクスクリーンでプリントしたこちらのシルクスクリーン作品は、コンラッド・リーチを有名にした作品でもあります。
彼の他の作品には、レゲエの神様ボブマーリーや90年代にグランジブームを巻き起こしたNirvanaのカートコバーンなど音楽に関係する肖像作品が多く存在します。
オードリーヘップバーン|コンラッド・リーチ
こちらのオードリーヘップバーンのシルクスクリーン作品を始め、彼のポップなカラーリングや数々の著名人をシルクスクリーン作品にしている点など、前述したアンディウォーホルとしばしば比較されます。
セリグラフの技法・詳しく解説
製版方法
版画の中でも孔版画に分類されるセリグラフの版はメッシュでできており、そのメッシュの間を通過したインクだけが印刷されるため、セリグラフの版は、印刷したくない部分を隠したメッシュ状のものとなります。
よく使われる感光式のシルクスクリーンキットでは、光に当たると固まる性質を持つ薬品を使用しており、
①版のメッシュを感光素材で全て塞ぐ
②透明のビニールに図柄を印刷して版に重ねる
③光を当てる
④光が当たった部分が固まり、光の当たらなかった図案部分は水で洗い流すことでメッシュがむき出しになる
という流れで版を製作しています。
この他にも熱を加えて図案部分を溶かす方法や、図案以外の部分を直接塞ぐ方法もあり、構造はシンプルながら製版方法は様々です。
フレームとメッシュ
セリグラフに使う版の枠組みには、金属や木・プラスチックなどのフレームを使用します。
またフレームに張るメッシュの目の大きさは、印刷したい図案の複雑さや線の細さに合わせてサイズを選択します。メッシュが細かいほど、より細かな線を印刷できますが取り扱いが難しく、特に水性のインクがメッシュに詰まると修復することは困難です。
扱いやすいとされるメッシュの細かさは80メッシュ〜120メッシュ程といわれますが、粗いもので40メッシュ、細かいもので360メッシュなど図案によって使い分けます。
印刷できるもの・インク
シルクスクリーンといえば、オリジナルTシャツを作る時に使われるイメージがありますが、印刷できるものは紙、布、金属、樹脂、木、プラスチック、ガラスなど、ありとあらゆるものに印刷できます。
インクも紙や布など印刷する対象物それぞれの性質にあった専用のインクがあります。
印刷方法(紙に水性インクで印刷する場合)
①印刷に使用する紙をマスキングテープなどで、机等の土台に固定
②版を紙の上に載せ、印刷位置を調整
③版の上部にインクをたっぷりと載せる
④スクイージーを素早く版の上部から下部に向けて動かす
⑤ゆっくりと版を持ち上げ、版の上に残ったインクを回収っする
⑥一刻も早く版とスクイージーを水で洗う
注意点としては、上述したように水性インクが版の上で乾くとメッシュが目詰まりして再使用できなくなるため、印刷が済んだら1秒でも早く洗い流すこと。
また紙に印刷する場合、紙の厚みが薄いとインクの水分で紙が歪んでしまうので、やや厚い紙を使用することをお勧めします。
最後に
いかがだったでしょうか。
日本ではあまり聞きなれないセリグラフという版画技法ですが、これを機に少しでも興味を持っていただけると幸いです。
それではまた次回!