【レビュー】iZotope Neutron 5だけでミックスできる?機能と使い方を徹底解説
最終更新日:2024/11/04
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目次
とうとうiZotope Neutron 5が新発売!
最強ミックスツールNeutronの最新バージョン・iZotope Neutron5がとうとう発売されました!早速手に入れたので、今回は徹底的にその機能を紹介レビューしていきたいと思います。
同じくAIマスタリングを搭載したiZotopeのOzone11のレビューはこちら↓
ちなみにNeutron4をお使いの方、5から追加された新機能はこちらのiZotope公式ビデオがわかりやすいです↓
iZotope Neutron 5のダウロードはこちら
Neutron 5の詳細はこちら
新しく発売されたNeutron 5だけで、ミックス完了できるのか?
AIアシスタントを使えば、1クリックでミックス完了?
iZotope Neutronシリーズが人気の理由の一つが、AIを使ってミキシングやマスタリングを行うAIアシスタント機能です。今回新発売されたNeutron 5にももちろんこの機能は搭載されており、新しくなったマクロコントロール画面によって以前より直感的なミキシングが可能になっています。
今回はキックに対してアシスタント機能を使ってみました。
分析ボタンを押して、トラックを10秒ほど再生すると、AIアシスタントがトラックの中で問題となっている部分を洗い出し、それを解決するモジュールを追加設定。あっという間に完成したミックスが下記の通りです。
この画面は今回実際に使われたミックスをマクロ的に操作することができる画面で、トーンやダイナミックス、アナログ的な質感を生む歪みであるサチュレーションなどシンプルな部分の操作感でニュアンスを調整できます。
さらに詳細画面を見ていくと、今回は5つのモジュールが使われたことがわかります。イコライザーやコンプレッサーなどの基本的なツールのほかにNeutron5から導入されたDensityモジュールも使われています。
開発元であるiZotopeはこのAIアシスタント機能をミックスの出発点として提案していますが、今回使ってみる限り、ワンクリックでかなり良い具合にトラック処理できて感動しました。特に筆者が最後に使っていたバージョンは3だったので、そこと比べるでもやはり今回アップデートして良かったなと感じました。
例えば、まだミックスに不慣れな初心者の方は、通常のEQだとスイートスポットを見つけるのにも時間がかかるし、コンプレッサーを使うにしてもスレッショルドやレシオの設定など、トラックごとに使い分けるのはなかなか難しい部分があると思います。それがワンクリックで、ここまでのクオリティーでできるのは、かなり画期的なチートミックスツールだと思いました。
ミックスの出発点を用意してもらえる点を考えると、膨大な数をミックスする必要のあるプロにもおすすめ。
Neutron 5の詳細はこちら
10種類のミックスモジュールを搭載
Neutron5には10種類のミックスモジュールが搭載されています。”Neutron5として”使うときには、2つのコンプレッサーを含む11種類のモジュールを呼び出して使うことができます。
一方でそれぞれのモジュールは、単体のプラグインとして使うこともできます。
詳しくは次の章で解説しますが、イコライザーやコンプレッサーなどミックスの基本となるツール、さらに音圧を上げるためのクリッパーや初心者にはなかなか難しいフェーズ問題を解決するためのPhaseモジュールなど、ミックスするのに必要なほとんどのツールが含まれている非常に高いコスパもNeutron 5が人気の理由の1つです 。
Balance AssistantはラフミックスにはOK、でも期待しないこと
iZotopeが無料で配布しているVisual MixerとNeutron 5と組み合わせて使うことで、ラフミックスを簡単に仕上げることができます。
各トラックにNeutron 5、マスタートラックにVisual Mixerを挿入することで、各トラックの音量とパンの調整を自動で行うBalance Assistantツールが使用可能になります。
このBalance Assistantツールはラフミックスを作る際の出発点としては使えますが、一発で完璧なミックスが出来上がるということを期待しない方が良いです。
むしろビジュアルミキサー上での、手動の直感的なパンニングやボリューム調整目当てであればVisual Mixerはゲットする価値のあるプラグインです。
10種類のミックスツールの機能と使い方を解説
Clipper | 音圧を上げたり、トラックにパワーを追加
今回のバージョンから追加されたクリッパー。音圧を上げる際に使われることが多いですが、Neutron 5のグリッパーは音域ごとに違う設定をかけられるのがポイント。低音だけに歪みをかけたり、音域ごとにボリュームの異なるトラックを処理する際にも非常に便利です。
Compressor | 3種類のコンプを搭載
Neutron 5のコンプレッサーは、 パンチ、モダン、ヴィンテージの3種類のタイプから選べます。視覚的にわかりやすいビジュアルで、初心者でも簡単に必要な分だけ音を圧縮することができます。
パンチモードはレシオやリリース等の設定を省き、シンプルなノブの調整でパンチのあるコンプレッサーを使うことができます。ヴィンテージモードでは、アナログ特有の色付け、逆にモダンモードではクリアな仕上がりを実現しています。
また、コンプレッサーでも最大3つまでバンドを切り分けてることができるので、マルチコンプレッサーとして使うこともでき、1台で3つも4つもおいしいコンプとなっています。
Density
Neutron 5から追加されたDensityモジュールは、指定したスレッショルドよりも小さい音のボリュームを引き上げることで、トラックに隠れているディティールを掘り起こす機能を持ったプラグインです。 ボーカルはピアノの音量を揃えたりする際に使用でき、コンプのように音を圧縮するのとは逆の方法で音量揃えることで、 圧迫感のない自然な音量調整が可能です。(コンプの場合は逆にパンチを加えることができます。)
Equalizer
ミックスするにあたって、最重要なエフェクトの1つがイコライザーです.
Neutron 5のEQは、基本的なミックスに必要なすべての機能を搭載、しかも操作性もスムーズでストレスなく使用できるプラグインです。
入力された音の大きさによって指定した音域の音量を下げるダイナミックEQや、同じく指定した音域をのトランジェントサステインをコントロールできるモードも搭載。
さらにマスキングモードを使うことで、他トラックの音のバランスをリファレンス&被っている音域が表示されるので、初心者でも簡単にどの領域に注目すればいいのかがわかり、非常に便利です。
Exciter
Exciterは、指定した音域にサチュレーションやディストーションをかけることで、トラックに倍音を負荷するプラグインです。例えばキックやベースの低音部分に歪みを加えることで音に厚みを出したり、ボーカルの高音域にサチュレーションを加えるて空気感を演出するのに使用します。
Neutron 5のExciter には、クラシックとトラッシュの2つのモードの中に、それぞれ4つずつテープや真空管オーバードライブなどのタイプを搭載。直感的なXYパラメーターで、それぞれブレンドすることでトラックにあった歪みを生み出すことができます。
Gate
Gateは、指定した音よりも小さい音を断ち切るプラグインです。例えば、ボーカルのやドラムのオーバーヘッドの背景の不要なノイズ を削除するような下処理的な使い方の他にも、リリースを調整することで、リズムにグルーヴを出すような使い方もできます。
Phase
Phaseは、 トラックのフェーズを回転したり、トラックを少し遅らせたりして位相問題を解決するためのプラグインです。
位相問題とは近い音域の2つ以上の音が重なる際に、波長がお互いを弱め合う方向で噛み合ってしまい音を小さくしたり、場合によっては完全に消してしまう現象のことです。
Neutron 5のフェーズモジュールには、自動でフェイスを調整してくれるLearnボタンがあるので、初心者の方でも簡単に最適な位相を見つけることができます。
Sculptor
スカルプターは、トラックのこもっている部分や、高音域のキンキンと耳障りな音を取り除くのに使用します。
使っているトラックを選んだら、シンプルなノブを操作するだけ。通常だとテクニックが必要なミックス処理が簡単にできるので、初心者にとってはかなりのチートツールです。また音域を絞り込んで使用できるので、予期せぬ動きを最低限に抑えることができます。
Transient Shaper
トランジエントシェーパーは、トラックの音の出だしであるトランジェント(アタック)を強調したり弱めたり、音の余韻の部分であるサスティーンを長くしたり切ったりするプラグインです。
アタックの強すぎるピアノを弱めたり、余韻の長いスネアをタイトに仕上げるなど、様々な場面で使い勝手の良いプラグインです。
Unmask
Unmask は、似た音域を持つ2つのトラックをミックスする際に重宝するプラグインです。特にキックとベース、ボーカルとピアノやギターなど、通常であればコンプレッサーを使ってダッキングするところ、Neutron 5はかなりシンプルな操作で簡単にミックス処理ができます。
結論:Neutron5だけでミックスはできるか?
結論としては、Neutron5だけで”ほとんどの”ミックス処理は完結できます。
“ほとんど”と言っている理由は、Neutron5はミックスの中でもトラックの問題を解決する部分に特化しているプラグインなので、ディレイやリバーブなどトラックを馴染ませたり、奥行きを作るプラグインが別途必要になるためです。
ディレイやリバーブは一度DAW標準を使ってみて、気に入らなければプロ仕様のプラグインを導入するのも◎
総括すると、Neutron5は単体でも売り出せるような高品質な10種類のミックスモジュールを搭載、さらにAIアシスタントで簡単にミックスの出発点を作ることができるので、初心者からプロの方まで非常におすすめなツールです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!ではまた次回!
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